私は、ITコーディネータという資格で仕事をしています。
これは、経済産業省の推進資格として2001年に作られた資格です。

もう既に資格が作られてから十数年経つのですが、「IT」という言葉から、まだ「コンピュータの専門家でしょ?」みたいな印象を持たれることも少なくないのですが、真に経営に役立つIT利活用を推進するために、経営戦略の策定から、情報化戦略、調達支援などなど、様々なお手伝いをする人材となっています。

私は、以前、会社に勤めていた時にこの資格を知り(以前は、大手ITベンダーのSEをしていました)、

「これが自分のやりたかった仕事だ」

と感じて、この資格を取得し、結局は独立することになりました。

今は、やりたい仕事をやって、まあ、食べるには困らないだけの仕事は頂けて、楽しく仕事ができています。(幸せだ)

ところで、ITコーディネータに限らず、世の中に「コンサルタント」と名乗り、仕事をしている人はたくさんいます。
医者や税理士などと違って、独占業務資格ではないので、誰でも名乗ることはできますし、「先生」と呼ばれる場合も多くて何となく気分が良いし、それまで会社に勤めていた経験も活かせそうだし、何となく自分でも稼げそうとか思うのでしょうか?

実際は、コンサル資格を取っても、なかなかそれで生活できるだけの仕事ができているという人は多くはなさそうです。

それはそうですよね。医者でも弁護士でも、今は、資格を取っただけで仕事がドンドン来るというような時代ではありません。

自分の場合、全くお客様の当てがあるわけでもなく、勢いで独立するというコンサルらしからぬ(笑)独立をしたわけですが、それでも食って行けているんだから、皆さん、安心して独立してください…などというつもりは毛頭ありません(笑)。

上に書いたように、自分はITコーディネータという資格を知り、その資格に意義を感じて、想いだけで独立したのですが、その時に思って、今でもぶれていないのは

「日本の中小企業を元気にしたいです」

という想い。これは、会社を辞めるときに、上司にも言いました。
じゃあ、今、それが達成できてるのかと言えば、なかなか当初の理想通り行っていないという忸怩たる思いもあるのですが…、それはちょっと置いといて。

自分が資格を取って独立した時には、別に
「もう定年だし、年金支給まで、まだしばらくあるしセカンドキャリアとして…」とか(私は30代半ばでの独立でした)、
「儲かりそうだし」とか
「コンサルタントってかっこよさそうだし」とか
「偉そうにできそうだし(笑)」
とかいう感じで独立したわけではないです。ただただ、上に書いた

「日本の中小企業を元気にしたいです」

という想い。それだけで独立しました。バカですね(笑)。
でも、それまではSEをやっていたということで営業経験があるわけでもなく、中途半端(笑)に大手ベンダーにいたので、会社勤めのときのお客様と取引するわけでもなく(そもそも、地元で仕事してたことが殆ど無いです)、さてどうしようかなという感じだったわけですが、周りの多くの人の助けや、ラッキーなタイミングなどにより、ここまで仕事ができてきました。(ありがたや~)

まあ、そんな感じで仕事をしてきたわけなので、
「仕事がなかなか取れない~」
というコンサルタントの方々に対して、「これが仕事を取ってくる秘密です!」などという偉そうなアドバイスなどはできないのですが、やはり、上に何度か書いているような「想い」というのが一つのポイントになるのかなとは思っています。

「日本の中小企業を元気にしたいです」

なんて書くと、読む人によっては「綺麗ごと」に見えるかもしれませんが、顧客に対して価値を提供するというのは、仕事として一番最初に考えなければならないことで、どこが起点になっているかは、自分にとって最重要ポイントです。
ここで、間違えて欲しくないのは、「顧客への価値提供」というのは別に無償でやるということではないということ。価値提供に見合った対価をきちんともらうということは当然のことで、年金診断士とか年金ITCのような人たちが価格破壊をしていくというのは、ちょっとだけ困る。

逆に「自分が食って行けそうだから」、「この仕事ならできそうだから」という考えで、このような仕事を選ぶ人もいるかもしれないですが、自分がクライアントだったら、たぶん、そういうコンサルタントは選ばない。
もちろん、自分がきちんと収入を得ることはすごく重要だし、そもそも自分が食って行けないコンサルなんて価値あるの?っていうこともあるので、お金を稼ぐこと自体は全然否定しないし、むしろ上で書いたように、価値提供の対価を得るというのは当然だと思っているので、クライアントをハッピーにした分、どんどん稼いでくださいと思うのですが、目的がどこにあるのかというのは、やはりかなり気になるところではあります。

コンサルタントもそうだし、最近よく聞く、コーチングもカウンセリングもセラピストもそうだけど、クライアントの会社の経営や、ひいては人生にまでダイレクトで影響を及ぼす仕事ですよね?そういう人たちはプロとしてそれだけの覚悟をもってクライアントに向き合ってもらいたいと思うわけです。「なんかかっこよさそう」とか「儲かりそう」とか、そういう意識でクライアントに向き合って欲しくない。

例えば、もし自分が病気になって、お医者さんにかかるときは
「儲かりそうだから医者になった」とか「社会的ステータスが高いから医者になった」というお医者さんじゃなくて、「苦しんでいる患者さんを助けたいと思って」とかいうお医者さんの方が、信頼できるわけですよ。ヤブだったら嫌だけど(笑)。
同じように、なんかあって弁護士に頼むときは
「儲かりそうだから弁護士になった」とか「社会的ステータスが高いから弁護士になった」という弁護士じゃなくて「理不尽な争いに巻き込まれて困っている人を助けたくて」とか「社会悪が許せなくて」という弁護士に頼みたいわけですよ。まあ、弁護士の場合は、その人の理念とか考え方に共感できるかどうかも重要な要素ですが。

で、何が言いたいかといえば、コンサルタントでも、同じだと思うんですよね。少なくとも自分はそう。
「儲かりそうだからコンサルになった」とか「これくらいならできそうだからコンサルになった」というコンサルタントは、ちょっと信頼できない。
要するに、「どっち向いて仕事してるの?」っていうことであって、自分が食っていくのが目的だったら、他の仕事でも良いよね?ってことです。

コンサルタントとして仕事をしていきたいという人たちにとって、ヒントになるかどうかわかりませんが、自分は、ITコーディネータという仕事をしている中で、仕事の内容をより強化し、役立てるためにNLPというものも学んでいます。
その中に、ニューロ・ロジカル・レベルというものがあるのですが、下の図は、その考え方に我々ITコーディネータの活動を当てはめてみたものです。

ニューロ・ロジカル・レベル

ニューロ・ロジカル・レベルは、すごく簡単に言えば人間の意識を6段階に分けた考え方で、自己認識にも使われますし、対人関係の改善などにも使われます。詳しくはググってみてください(笑)。

一番下の階層は、「環境」(When, Where)です。
このレベルでは、「いつ」「どこで」などが意識されます。
コンサルタントの仕事で言えば、「どこにこんな仕事があるよ」とか「いつ〇〇っていう補助金の募集が始まるよ」などといった知識レベルになるかと思います。
これを助けるのが「ガイド」と呼ばれる人たちです。
その上の階層が「行動」(What)です。
このレベルでは、「何をしなければならないか」という振る舞い、行動が意識されます。
コンサルタントの仕事としても「何をするのか、しないのか」「実際に動くのか、動かないのか」ということがここで考えるべきことです。仕事があるのがわかっていてもいろいろと言い訳をして動かない人っていますよね。それで仕事が無いとか言ってる人たち。
これを助けるのが「コーチ」と呼ばれる人たちです。
次の階層は「能力」(How)です。
実際に、仕事をしようと思っていろいろ動いたとしても、やみくもに根性で動いてもなかなか上手く行きません。必要となる能力、スキルを身に付け、行動することによって成功する可能性が高まっていきます。
ここを助けるのが「ティーチャー」と呼ばれる人たちです。
一般的なコンサルタントで言えば、求められているのは、このレベルから下の部分。
きちんと教えることができ、行動を促し、様々な情報について伝えることができるということが求められていると思います。

その上の階層が「信念・価値観」(Why)です。
このレベルでは、「自分が何のためにやっているのか?」ということが意識されます。
ここを助けるのが「メンター」と呼ばれる人たちなのですが、実は、私はITコーディネータにとって、一番大切なところであり、他のコンサルタントと一線を画すところだと思っています。
ITコーディネータ資格誕生の背景には、バブル崩壊以降、閉塞していた日本の経済状況を打破し、国際競争力を高めるためにITと経営を橋渡しするためのプロフェッショナルを作り出すという目的がありました。
そのような使命感を持ち、本当の意味でクライアントの役に立つというミッションを意識できるという人たちにこそ、この資格を活かして頂きたいと思います。
(ちなみに、ここでは話の流れ上、「メンター」という言葉を出していますが、別にクライアントのメンターになれという意味ではないです。自分自身の信念・価値観をもって仕事して欲しいということです)

ニューロ・ロジカル・レベルでは、下の階層が上の階層に影響を及ぼすこともありますが、上の階層が下の階層に及ぼす影響の方が強いと考えられています。

ここの例で言えば、

「自分が何のためにITコーディネータという資格を取ったのか」
という信念・価値観がしっかりしていれば、それに従い、能力を高めるべく努力するし、能力が高まれば行動も変わり、環境もそれに合わせて変わったり、適切な環境へと身を置くようになるということと言えます。

信念・価値観の上の階層にある「自己認識」は、「自分が何者であるか?」ということを表します。
個々のITコーディネータでいえば「自分はこういう人間だ。だからこういう信念・価値観でITコーディネータという仕事を選んでいる」ということになるのですが、ここでは、個々のITコーディネータではなく、ITコーディネータ協会とITコーディネータとの関係、あるいはITコーディネータとクライアントの関係を考えた方がわかりやすいかもしれません。

図には「スポンサー」と書いていますが、TVスポンサーみたいな印象を受けてしまいがちなので、日本語で「後見」の方が、しっくりくるかもしれません。
これは、例えば「仕事のできるITコーディネータだから支援します・応援します」という協会のスタンスではなく「ITコーディネータという仕事を選んだあなたを支援します」というスタンスです。条件付きの支援ではないということですね。まあ、「こんな人たちなら支援します」みたいな組織だと、所属してる人たちもビミョーな感じになりますよね(笑)
コンサルタントとクライアントの関係でも同じく「御社を支援することになったので、どういう状況でも支援しますよ」という覚悟みたいなものも入ってくるかなと思います。「御社はコンサル・フィー払えないので、うちでは相手にしません」って門前払いするのもちょっとビミョーな感じ
このレベルって、母親の子供に対する無私の愛みたいなものが一番近いんですよね。

一番上にある「スピリチュアル」って書いてあるのは、なんとなく言葉が怪しいですが(笑)、もうちょっと軽く社会での自分の立ち位置、存在意義のような感じで考えてください。下のレベルが個人の意識に閉じている反面、このレベルになるとどうしても他者との関係と切り離せない部分も出てきます。

自分は、ITコーディネータとしての仕事がメインなので、こんな感じでITコーディネータと絡めて、仕事の中で身に付けなければならないこと、意識のあり方を考えてみましたが、読んでいる皆さんの仕事ではどうでしょう?

「そんなに堅苦しく考えなくても良いじゃん」とか「資格なんて、そこまで考えて取ってないよ」という人も多くいるかとは思いますが、自分としては、そういうことをたまにでも考えながら目の前の仕事に向き合うと、行き詰ったりしたときに原点に戻れたり、新しい道が見えてきたりするんじゃないかなと思っています。