2020年、新型コロナウイルス(Covid-19)感染症は、教育、働き方、メンタルヘルスなど、社会の各所に大きな衝撃を与えました。

その一方で、その後、2022年末から急速に進化・普及を続けている、ChatGPTに代表される生成AIの技術は、現在、本格的に流行し始め、一般の人びとにとっても手の届く存在となっています。

では、これが逆だったらどうなっていたでしょうか?
…2019年の時点ですでに生成AIが社会基盤の一部になっていて、その後にパンデミックが起きていたら…。

私の個人的な思いと視点から、ChatGPTと会話をしながら、

  1. 教育
  2. メンタルヘルス
  3. 公衆衛生コミュニケーション
  4. 経済
  5. 社会制度

の五つの視点から、ポジティブ、ネガティブ両面について考察してみました。

教育のデジタル化、ICT活用はどのように変化していったか?

まず考えたいのは、教育に関することです。
私自身、コロナ禍の時期、子どもがちょうど大学生で一人暮らしをしていたということもあり、かなり気になる話題ではありました。
報道などでも、キャンパスの閉鎖やオンライン授業への移行など、色々と話題が多かったと記憶しています。

ChatGPTは、以下のようにまとめてくれました。

観点 もし AI が先行普及していたら 現実とのギャップ
学習機会 生成AIチューターが即座にパーソナライズ指導。休講でも “置き 勉” や授業動画を AI が要約→練習問題生成→自動採点まで行い、学習遅延が小さくなる 2020 年当時は Zoom 配信+PDF で精一杯。教員側の負荷が高く、理解度モニタリングも手作業
教員負荷 レッスンプラン作成や教材翻案を AI が肩代わりし、オンライン授業への切替えが滑らか。同種の効果は北米の調査でも確認済み 多くの大学で「半期まるごと PDF と録画を急造」という対応になり、授業設計の質がばらついた
デジタル格差 逆に AI 環境(PC・通信・有料API)が無い学生は、現実以上に取り残される危険 現実もデバイス不足は問題だったが、AI 依存度が高いほど格差は拡大

実際、生成AIがすでに学習ツールとして普及していれば、非実在の教師や自動学習環境として活用され、オンライン授業の精度も保てたのではないかと考えられます。

ただし一方で、その手前には「デバイス、通信、有料API」という高いハードルがあり、学習機会の格差はさらに広がった可能性も否めません。

心のケアはAIに任せられたか

学習以外でも、キャンパスの閉鎖、会社との分断などがあり、これらは多くの学生や会社員に孤独感をもたらしました。
当時もZoom等のオンラインがコロナ禍の影響もあり、急速に普及したという事実がありましたが、そこに、更に24時間話相手になり得るAIが存在したらどうだったでしょうか?

まさにセーフティーネットの一部として価値を発揮していたのではないかと考えられます。

しかし、同時に「人間との関わり方」を学ぶ機会が失われ、感情表現や言い争いの解決能力が養われる機会が減った、などの問題も起きたでしょう。
これは、恐らく低年齢層になるほど顕著になったのではないかと思います
(これ自体、コロナ禍との関連とは別に、今後のAIの使い方に関して慎重に検討すべきことではないかと思います)。

ちなみに、ChatGPTは次のようにまとめてくれました。

ポジティブ ネガティブ
Replika などの対話型 AI が孤独感や不安感を軽減。学生対象の調査では、AI との会話が 4 週間で孤独スコアを有意に下げた (nature.com, jmir.org) 人間同士の対面コミュニケーションがさらに減少し、「人と会わなくても AI がいるから大丈夫」という風潮が定着すると、対人スキルや共感能力の発達に影響
24h 相談チャットボットが自殺念慮の早期検知を補助 AI 依存や“擬人的愛着”による新しいメンタルリスク(失望・孤立の長期化)

今日報じられている高齢者向け音声 AI の孤独対策は、もし 2020 年時点で学生にまで浸透していたら心理的セーフティネットになった可能性が高い
businessinsider.com

公衆衛生情報、スピードと危険性

生成AIは情報を迅速に、多言語で分かりやすく伝える力を持ちます。
WHOや各国政府がその力を使っていたら、指針の作成や普及のスピード異なっていたでしょう。

ただし、同じ技術は残念ながら悪事にも利用されます。
偽情報・フェイク情報の作成はすでに現実化しており、それがもし早期に起こっていたら…それも可能性として考えなければならないでしょう。
(今でも、情報の切り取りやフェイク情報の拡散により、一次情報にあたれば明らかな誤情報に振り回されている人はたくさん見かけます)

特に、現在の生成AIは情報の正誤に関わらず、学習情報による「確からしさ」で回答を出しているに過ぎませんので、フェイク情報がネット上に溢れる状況が早まっていれば、AIそのものの学習自体に影響はあったでしょう(これも、コロナ禍とは無関係に、今後のAIの進歩そのものに関連してくる話です)。

こちらについて、ChatGPTは以下のようにまとめてくれました。

期待効果 潜在課題
WHO が実際に使ったような AI チャットボットで最新ガイドラインを即配信
→ 多言語対応で誤解を減らす (pmc.ncbi.nlm.nih.gov)
AI 起点のフェイクニュース生成も同時に加速
早い段階でワクチン陰謀論や偽治療法が大量拡散し、当局は対策に追われた可能性
(2024.jou.ufl.edu, pmc.ncbi.nlm.nih.gov)

働き方や経済はどうなっていたか?

自動化、要約、コード生成…これらはリモートワークを使わざるを得なかった階段で、スムーズな移行を支えたのではないかと考えられます。

しかし同時に、「事務の自動化」は、ITリテラシーの格差、デジタルデバイドの問題を今以上に顕にし、失業等が爆発的に増加していた可能性も否めません。

ChatGPTは以下のようにまとめています。

ポジティブ ネガティブ
リモートワークの生産性向上:自動議事録、文書草案、コード補完などで業務移行がスムーズ 雇用シフトがパンデミックと同時期に発生し、失業や再教育ニーズが急増。政府支援が追い付かない恐れ
新サービス/副業機会の拡大:AI プロンプト作成や個人開発アプリで収入源多様化 デジタルスキルが低い層と高い層の所得格差が一段と拡大

社会制度は何年前倒しされたか

生成AIの利用がここまで進んでいたら、現在、色々と議論されている利用に関する法規制、ガバナンス、また「リテラシー教育」は、もっと早く動き出していたでしょう。

また、SNSに代わり、「AIとのやりとりの記録」が文化資産になるような社会も考えられます。

ChatGPTは以下のようにまとめています。

  1. 政策対応が前倒し

    パンデミックと同時に AI 規制議論が始まり、プライバシー・著作権・責任主体の枠組みが早期に整備されたかもしれません。

  2. “デジタル・コンパニオン文化”の定着

    ChatGPT がすでに“日常の相談相手”という位置づけになり、SNS 以上に AI との対話ログが文化的資産になる世界線。

     

  3. AI リテラシー教育が標準科目化

    小中高の情報科でプロンプト設計や生成物の批判的読み解きが必須単元に。

  4. 公衆衛生 × AI 研究が加速

    疫学シミュレーション、mRNA 配列探索などで創薬タイムラインが短縮した可能性もあるが、2019 年時点のモデル性能を考えると限定的。


ここまでの考察をまとめてみると、教育も仕事も、AIがあれば「止まらない社会」になりえた可能性はあります(あくまでも可能性です)。

その一方で、孤独や情報空白は埋まる一方、新たなリスクも抽出されたはずです。
(それらのリスクについては、今まさに現在進行系で出てきているとも言えます)

もしそんな社会を経験していたら、私たちは今、どんな技術利用戦略を推し進めていたのでしょうか。

現実の試行錯誤を振り返ってみる意味でも、この「もう一つの2020年」は有益な思考実験だと思います。

 

…と、ここまで書いてみて、起点が
「コロナ禍」と「生成AIの普及」が逆転していたら?
という発想でしたが、そもそもコロナ禍以前に生成AIが今のように普及していたら、パンデミック自体が発生していたかどうかということが疑問として湧いてきました。

そこで、以下、ChatGPTとのやりとりについて、そのまま掲載します。

もし、生成AI普及がコロナ禍以前だったら、そもそもコロナ禍が発生していたかどうかというのも疑問ですが、そこについてはどうでしょうか?

「生成AIが先に普及していれば、そもそも COVID-19 パンデミックは起きなかったのか?」を冷静に検証する

ステージ 生成AIが先行普及していた場合に“起こり得た変化” パンデミックを食い止められた可能性
① ウイルスが動物から人へ“飛び移る”前 リスク予測 : – 野生動物監視データや土地利用変化を生成AIが自動要約し「●●省南部でコウモリコロナ属の異常増殖」とレポート。 – Spillover 予測モデルが「ハイリスク市場」を週次で地図化。 (nature.com) 低い• モデル精度はまだ検証段階。• 規制・取締りを実行する“政治的意思”が伴わないと、野生動物取引や森林破壊は続く。
② 武漢で最初のクラスターが発生 超早期アラート : – BlueDot(従来型 AI)が実際に 2019/12/30 に異常検知を発報したが、生成AIなら多言語 SNS を即時要約し、数日早く国際機関へ共有。 (wired.com) 中程度• 「発見→政治決断→行動制限」までの摩擦を縮められれば、都市閉鎖を前倒しできた可能性。
③ 国内外へ拡散し始める 行動最適化 & コミュニケーション : – WHO や各国保健当局が生成AIチャットボットで最新ガイドラインを配信、誤解を最小化。 (who.int) – ナレッジグラフ+生成AIで「このイベントを中止すれば感染再生産数は △△%低下」と即座にシナリオ提示。 中〜高• 迅速な正しい情報拡散でマスク・手洗い着手が数週間早まれば R0を 1 未満に抑えた地域もあったかも。
④ ワクチン・治療薬開発 mRNA シーケンスの自動生成 : – LinearDesign 等の生成モデルが “最適スパイク配列” を数分で設計、抗体応答を 100 倍以上にした研究も。 (nature.com, eurekalert.org) 高い(拡大抑止)• 実際は12 か月で供給→AI 活用で設計・前臨床が数か月短縮されれば、ワクチンが世界拡散より先に登場した可能性大。
⑤ 社会的影響と長期戦 アウトブレイク予測 & 医療資源配分 : – 生成AI+大規模シミュレーションで「〇〇州の重症病床が10日後に逼迫」と警報→ロジ輸送を自動最適化。 (mckinsey.com) 高い(被害縮小)• 医療崩壊を避けつつ致死率を下げ、パンデミック終息を早められた公算。
  1. 結論:出現そのものは防げないが、
    – 発見~封じ込めまでの“時間との勝負”を AI が大幅に短縮できた可能性が高い。
    – 数週間~数か月の前倒しだけでも、感染者曲線はまったく別の形になり、「世界的大流行」ではなく“地域的大規模流行”にとどめられたシナリオは十分考えられる。
  2. 阻害要因:技術以外の3つの壁
    1.  政治的意思決定 ― 初動で都市封鎖・入国制限を発動するコストを各国が受け入れるか。
    2.  データ共有のガバナンス ― ゲノムや患者情報をリアルタイム開示できる法制度・国際協定の整備度。
    3.  フェイクニュース ― 同じ生成AIで陰謀論や「偽治療法」も量産され、対策効果を相殺するリスク
  3. 「AI があればパンデミックは起きなかった」と断言できない理由
    – SARS-CoV-2 の生物学的特性(無症状感染・高い再生産数)は、封じ込めを極端に難しくする。
    – 2009 年 H1N1 や 2015 年 MERS の経験からも、国境を越える人流が続く限りウイルスは広がる。
    – 結局のところ、技術+制度+市民行動の三位一体がそろわないと世界的拡散は防げない。

・何を学ぶべきか

  1. リアルタイム国際データ共有基盤を平時から構築
  2. AI リテラシー+誤情報リスク教育を義務教育レベルに
  3. AI 加速型ワクチンプラットフォームを恒常的に維持(例:可変抗原ワクチンの公的資金支援)
  4. 初動判断を“秒で実行”できる法制度と超党派合意を整える

要点

  • 生成AIの先行普及だけでウイルスの“発生”は止められない。
  • しかし 検知・通信・設計 の時間を圧縮できるため、パンデミック化を防ぐ現実的チャンスは確実に増える。
  • 技術が先に来ても、それを生かすガバナンスと社会の覚悟が伴わなければ、歴史は大きく変わらない。

要点の最後は、我々、ITコーディネータが心に留め置かなければならないことだと思います。

「ITはツールに過ぎない」

という言葉は資格ができた当初から、飽きるほど聞いてきた言葉だと思います。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が先行し、歴史は繰り返すということではないでしょうが、単なるデジタル化、ITツールの導入がDXではなかったはずなのに、ふと気づくとそのような動きが見え隠れしているような気がしてなりません。

もちろん、それまで適切なデジタルツールを使いこなせていなかった企業が、まずはお試し的に使ってみるというのはありですが、

  • 目的は何なのか?
  • 企業としてのビジョンは何なのか?
  • 何のためにデジタル化、IT導入を進めるのか?
  • そして、それを活かしていくために、組織の改革や人材の育成・教育をしていく覚悟があるのか、

ということは忘れてはいけないのではないでしょうか。

AIとコロナ禍

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