「ITは単なる道具」
という言葉を、一体、何回聞いたことだろうか…。
確かに、ITは目的ではなく、手段であるというのは正しいことです。
…でも、この言葉に多少の違和感を感じているというのも事実です。
恐らく、「単なる」という部分に引っかかっているんだと思います。
「単なる道具なんだから、ITにアレルギー反応を起こすことは無いですよ」
「単なる道具なんだから、過度の期待はしない方が良いですよ」
など、色々な使い方がされています。
でも、「単なる道具」という部分に、ちょっと言い訳じみているところを感じてしまうことがあります。
うまく使いこなせば、ITほど便利なものはめったにありません。
特に携帯電話とインターネットが普及して以来、今までの「単なる道具」とは、一線を画しているのは、間違いないと思います。
それは、私だけなのかもしれませんが、「道具」といったときに、物理的なものに作用する手段というイメージが強いからなのかもしれません。あるいは、極狭い範囲の思考みたいなものに作用するテクニックとか。
近年における所謂 “IT” というのは、人によってイメージするものは違うと思いますが、コンピュータとかソフトウェアといった、単独で存在するものではなく、言うなれば、「活字」とか「言語」とか、そういった社会における文化そのものに対する影響を及ぼすだけの力を持ったものだと思います。
だからこそ、変な事件が、ほんのちょっとITに絡んでいただけで、人は大騒ぎし始めるのではないでしょうか。ある意味、「ITはわからん」とか「ITなんか関係無い」と言っている社長さんたちは、あたりまえの反応をしているとも言えます。
そのようなITにアレルギーを持っている経営者たちに対して、我々ITコーディネータが、どう切り込んでいくかというのも、今後の大きな課題になってくるのだと感じています。