アップル社のスティーブ・ジョブズ元CEOが亡くなりました。
彼の素晴らしかったところは、人間の持つ想像力を現実に変えてきたところなのではないかと思う。
もう一つ言うなら、その想像力がやはり卓越していたのだろう。
もちろん、小説家や漫画家を始めとして、想像力たくましい人は多くいるが、それがあたかも現実であるかのように頭の中に描き出し、現実世界に映し出せる(それは、他の人への説明、プレゼンテーションも含んでという意味で)人というのは、やはり限られてくるような気がする。
逆に言えば、人は自分の頭の中で想像し得るものしか現実化できないし、描ける範囲が、その人の世界そのものだということも言える。
そう考えたときに、人生の中で、様々な実体験を積むというのは、心の中に作り出すイメージを強固にするためには非常に重要だし、役に立つものである。しかし、一方で、体験したものしか想像できないという思い込みがあるのなら、それも進歩・成長を妨げる要因になるような気はする。
コンサルティングという仕事は、クライアントの希望を実現するための支援をするわけだが、その際に、クライアントの持っているイメージをどうやって強く形作っていくかについて支援することが重要だと思う。そのために、コンサルタント自身が持っている知識や経験、知恵といったものでクライアントの持っている原材料に肉付けし、無駄なところは削り取っていくという、ある意味で芸術家的な作業も必要になってくるのかもしれない。
…ってことを書いていると、ミンツバーグの戦略クラフティングとか思い出したので、時間を見つけて読んでみよう…。
話を戻して、クライアントの持っているイメージについて、否定的な言葉を吐き、そのイメージを壊したり、萎ませたりということは、コンサルタントとして、決して、してはいけないことだと思うのだ。もっとも、そんなことばかりしていたら、クライアントを無くすだけだとも思うが。
これは、表面的なやり取りのことだけではなく、本気でクライアントのイメージを実現できるように努力するということが大切で、コンサルタントとしては、それと同時に、クライアントが喜んでくれているというイメージをしっかりと心に描き切れるかどうかということが、そのコンサルタントの力量といえるのかもしれない。