コンサルティングをするときに、問題の本質を見極める必要が出てくる場面がたくさんあります。
自分の書いた本(TRIZ発想法)の中でも、問題の抽象化について書いていますが、抽象化というのは、簡単に言えば、
対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は無視する方法(Wikipedia)
と言えます。要するに、引き算の思考法とも言えるでしょう。これは、オブジェクト指向によるシステム開発に携わったことのある人なら、馴染みのある考え方だろうと思います。
問題の解決をする場合も、枝葉末節に捉われることなく、本質を突いて考えることは重要になってきます。
一方で、問題解決する場合に何かを足すことが必要になってくる場合もあります。
俯瞰して、全体を見るということでもあるのですが、例えば、交差点で事故が発生しないようにするには、どうしたら良いか?
解決案の一つとしては、信号をつけること。
他には、立体交差にしてしまうという方法もあります。
信号をつけるということは、時間による分離を行い、立体交差は高さという別のパラメータを追加することによる解決策です。
実は、立体交差の例は、ずーっと昔(まだ僕が高校生くらいの頃)、フィールズ賞を受賞した、日本の有名な数学者である広中平祐先生の本に書いてあったもののパクリです(笑)。
広中先生は、「標数0の体上の代数多様体の特異点の解消および解析多様体の特異点の解消」という研究で賞を取っています。
簡単に言えば、うまくパラメータを追加することにより、問題解決するらしい(らしいというのは、僕がきちんと論文を読んでいないからw)。
要するに、立体交差の影は、2本の線の交差点があるけれども、実体は交わっていないということです。
学校の入学試験でも、各教科の合計点だけを見ていると、例えば数学の天才を見逃してしまったりということもあるかもしれません。
事象に近づきすぎて、大切なところが見えなくなってしまっているというのは、経営の現場でもよくあることだと思います。
「岡目八目」という言葉がありますが、コンサルタントとしては、現場を良く見たり、一方で、外からの視点で全体を見たりすることが大切なのだろうと思っています。