今年度から、ITコーディネータ協会の理事をやらせて頂いています。
ITコーディネータ制度ができてから、既に10年以上経過していますが、その中で、ITコーディネータが世の中で果たしていくべき役割、また、ITコーディネータ協会が今後果たすべき役割を考えていかなければなりません。
多くの組織で見られる現象だと思いますが、組織がある程度の規模を持つと(ひょっとしたら、組織というものの運命なのかもしれませんが)、組織が自己増大をし始めて、自身の規模を拡大しようとし始める傾向があるように思えます。
私は、組織の規模は結果でしかないと思っていて、会員が増えるとか、売上が伸びるなどということを目的にしてしまうと方向を見失ってしまうのではないかと思っています。
「企業の目的は顧客創造である」と言ったのは、ドラッカーだったと思いますが、顧客ニーズに応えるということこそが、組織の目的であると言って良いでしょう。
そう考えたときに、
「自分が属している組織にとっての『顧客』とは、いったい誰なのか?」
ということについて明確にすることが、組織を運営する役割を担った者にとって、最重要課題になるのではないかと思います。
多くの場合、組織が発足するときには、お客様を想定しているかと思います。
それは、組織としての役割がなんであるかを明確にすることであると言い換えることができます。
「自分たちは、誰に対して、どのような価値を提供するのか?」
それは、世界中の人たちに対してかもしれませんし、地域の人たちに対してかもしれません。
男性かもしれませんし、女性に対してかもしれません。
美味しい料理を求めている人に対してかもしれませんし、心地良い睡眠を求めている人に対してかもしれません。
それを突き詰めて考えていったものが、ミッションでありビジョンになって行くのだと思います。
世の中が大きく動き、環境が変わる中で、当初のミッションやビジョンが変わっていくこともあるでしょう。
その場合、「役割を終えた」として、潔く組織を解散するか、新たなミッション・ビジョンを見つけ出すこともあるかもしれません。
方向性を考え直す時は、当初の想いを抽象化していって、「本当に果たすべき役割は何だったのか」ということを考えていくことが必要なのだと思います。
日々の活動を行っていくときには、具体的なアクション・プランを作って行くことが必要ですが、より広い視点で物事を捉え直す必要があるときには、枝葉末節に囚われることなく、本質を見据えて行くことが大切です。
私が尊敬している経営者に、ライフネット生命の出口治明さんがいますが、彼の言っていることとして
「『世界経営計画のサブシステム』を担いながら生きる」
というものがあります。
これは、
「今生きている世界をどのように理解し、どこが嫌で、どこを変えたいと思い、自分は何をすることができるのか」
を考えながら生きていくことで、とても積極的な考え方・生き方だと思います。
「世界」というスケールで考えると、ちょっと大きな感じがしますが、自分の周りの人たち、所属している組織がどう動いていて、その中で、自分ができる役割は何なのか?どこを変えていきたいのか?ということを考えると、自分が今、やらなければならないことが見えてくるのではないでしょうか?
話を戻すと、今年度、ITコーディネータ協会の理事になったということで、今後、協会の役割を見直していく必要があるわけですが、
- 協会の顧客というのは誰なのか?
- その中で、協会の果たすべき役割は何なのか?
という原点に立ち返り、今後の活動方針を考えていかなければなりません。
もちろん、組織運営にあたっての財務状況や、宣伝活動、その他いろいろ考えていかなければならないことはたくさんありますが、自分はITコーディネータという資格で一番大切なものは「想い」だと思っています。
知識は、勉強すれば身に付きますが、想いが一致していない中で活動していくというのは、自分もつまらないでしょうし、支援される側もつまならいでしょう。
ITコーディネータは、ITコーディネータ協会という組織とは別に、各地域に届出組織というものがあります。
先程の「世界経営計画のサブシステム」に倣うと、
- ITコーディネータ協会の果たすべき役割
- 各届出組織の果たすべき役割
- その中で、自分たちの担うべき役割
というものを考える必要があるかと思います。変えたい部分は変えていけば良いですし、方針・方向性がどうしても重ならない部分に関しては、どうするかじっくりと考えていく必要があるでしょう。
(そういった意味で、個人的には、今後、届出組織の在り方、役割も明確にしていくべきだと考えています)
自分が会社を辞めたときに、当時の上司に言ったことは、今でもブレずに心に持っています。
「日本の中小企業を元気にしたいです」
ちょっとずつですが、自分のやりたいことを現実に変えていくために、今後も毎日を過ごしていきたいと考えています。
御協力、よろしくお願い致します。