先日、「コンサルタントのお仕事」という記事を書き、その中で、コンサルの大きな役割の一つとして、
「クライアントとは違う視点で事象を見て、助言をすること」
ということを書きました。
これを実現するためには、コンサルタントに依頼するのではなく、自分とは異なる意見を持つ部下を上手く使うという方法もあるのではないかと思います。
自分の意見だけに固執して、人の意見を全く受け入れないという人は、ひょっとすると天才かもしれませんが、そういう人は一握りだと思いますので、やはり、別の視点からの意見も受け入れられる仕組みを作っておくというのが良いのではないかと思います。
ここで、敢えて「仕組み」という言葉を使ったのは、人間というのは、自分で思っているほどは強くなく、感情で動く動物なので、自分に都合の良い意見ばかりを受け入れがちになってしまうから。
田中角栄が大臣になったときに大蔵省で
「われと思わん者は誰でも遠慮なく大臣室にきてほしい。何でも言ってくれ。上司の許可を得る必要はない。できることはやる。できないことはやらない。しかし、すべての責任はこの田中角栄が背負う。」
と言ったいうのは、人心掌握ということもあったのでしょうが、一方で、自分以外(この場合は官僚)のものの見方・力を上手く使う必要性について知っていたからでしょう。
もちろん、その組織の役割、大きさ、置かれている環境、目指すべきゴールによって、どこまで別の視点を「受け入れる」かは、また別の話です。
特に、日本の組織の場合は、調整型になってしまうことが多く、スピード感が求められる時に、いつまでも物事が決められないということがあるのも事実です。ただ、意見を聞くのと採用するというのは、また、別の問題で、ベストな方法は、多くの見方、意見を取り入れつつ、最終的な決定には、組織として一丸となって取り組むということではないかと思います。
意思決定がいくら早くても、実行が遅い、あるいは上手く行かないというのでは意味がなく、そうならないためには、関係者が納得の行くような形で結論を出すというのが重要だと言えるでしょう。
最終決定ではなく、プロセスが大切です。
そのためには、
- ゴールが共有されていること
- それを実現するために、関係者それぞれが何をしなければならないか理解していること(要するに、自分の役割と位置づけがわかっていること)
が必要だと思いますが、それを可視化するために、ITコーディネータはバランス・スコアカード(BSC)というツールを使います。
もう既に、かなり知られている方法だと思いますので、御存じの方も多いと思いますが、悩んだとき、迷った時は、ぜひ使ってみていただきたいと思います。
最初の話題に戻って、これを読んでいるあなたが、経営者だったり、組織のリーダーだったりした場合、自分と違う視点を、どのように持たせるのかは、常に考えておくべきだと思います。
自分はマンガが好きで、よく読むのですが(マンガばかり読んでいるとも言いますが(笑))、救済が多いので有名なHUNTER×HUNTERに出てくるネテロ会長が、副会長に敢えて、自分が最も苦手とするタイプを置いておくっていうのは、組織を率いるリーダーの資質としては、重要なのかも知れません(マンガでは、単に面白がっているだけかも知れませんが、逆にそれが重要なのかも)。
また、別のマンガ「アイシールド21」でも、天才「金剛阿含」と凡人「ヒル魔」のセリフの違いも印象に残ります。今話題の(笑)アメフトのマンガですが
阿含:「俺が22人いりゃ、それがドリームチームだ」
ヒル魔:「同じコマ22枚なんてチームほどぶっ殺しやすいカモもねえわなぁ」
個々の才能の高さが重要か、それとも高い才能があっても、その均質さが逆に脆さにつながるのか
ダイバーシティの大切さがよく話題になる今の時代、また、生物の進化を考えたとき、どちらが強い組織となるのかは、その時々の時代背景にも拠りますし、組織が重要なのか、それとも個人主義に走るのかということでも答えは違ってくると思います。
下は、もう、10年以上前、まだ自分が独立する前、会社員時代に書いたブログです。
たまに、昔の自分の書いた文章を読んでみると、驚くほど考えが変わっていない(成長してないw)